【プレ介護とは】母に怒ってしまう50代へ|今日からできる3つの準備

「プレ介護とは 親に怒ってしまう自分を責めなくていい」と書かれたアイキャッチ画像 親との向き合い方

定時で仕事を終わらせて、それから一時間ほど残業して。車で十五分先の、母の家へ向かいます。

母は、見た目は今までと同じ母です。でも話し出すと、今日が何日で何曜日なのか分からない。同じ話を、何度も繰り返す。そんな母に、私はつい強い言い方をしてしまいます。そして家に帰ってから、ひとりで反省するのです。

  • 同じ話の繰り返しへの苛立ち
  • つい強くなってしまう口調
  • 帰り道の自己嫌悪

介護と呼ぶには早いけれど、確かにしんどい。この宙ぶらりんな時期には「プレ介護」という名前がついていました。この記事では、怒ってしまう自分と向き合ってたどり着いた、ひとつの気づきをお話しします。あわせて、仕事をしながらでも今日からできる3つの準備も紹介します。

プレ介護とは何か

夕暮れの実家の玄関先に並んで立つ、高齢の母と娘の後ろ姿

「プレ介護」という言葉を、初めて耳にする方も多いかもしれません。介護保険を使うほどではなく、施設に入るわけでもない。それでも親の様子がどうしても気になって、心のどこかがざわざわする。そんな時期を指す言葉です。私自身、この言葉を知ったとき「へぇ……」と声が出ました。今の自分の状態に、ちゃんと名前がついていたからです。

介護と呼ぶには早い時期

プレ介護は、「介護」と呼ぶには早いけれど、確実に手がかかりはじめている時期のことです。私の母も、まだ自分のことは自分でできます。それでも、以前はなかったことが少しずつ増えてきました。

  • 日付や曜日の思い違い
  • 同じ話の繰り返し
  • 少しずつずれた受け答え

ひとつずつ見れば「歳をとれば誰にでもあること」ばかりです。だからこそ相談しづらく、自分の中だけで引っかかりが積み重なっていきます。

プレ介護に気づくきっかけ

私の場合、はっきりした出来事があったわけではありません。話していて、今日が何日か分からないと言われた。同じ話を三度聞いた。そんな小さな違和感の積み重ねでした。

以前の母は、私よりずっと記憶がよくて、しっかりしていて。こちらの相談に乗ってくれるくらい、頼れる人だったのです。その差に気づいたとき、胸の奥がざわりとしました。

本格的な介護との違い

本格的な介護との一番の違いは、支えてくれる仕組みがまだ何もないことだと思います。要介護認定を受けていれば、ケアマネジャーがついて相談先も決まります。プレ介護の時期には、それがありません。

制度の外側にいるぶん、判断も心配も、すべて自分ひとりで抱えることになります。しんどさの正体は、作業の多さよりも、この心細さなのかもしれません。

母につい怒ってしまう理由

夜の台所でひとり椅子に腰かけている女性の後ろ姿

怒っているその瞬間は、「あぁ、自分は今疲れてるんだな」なんて考える余裕はありません。とにかく早く様子を見て、無事なら帰って、明日の準備をしなければ。そして自宅に帰り、椅子に座ってようやく落ち着いたとき、あぁ、また言い過ぎたな、と反省するのです。どうしてこんなに怒ってしまうのか。ずっと自分でも分かりませんでした。

仕事帰りの余裕のなさ

怒ってしまう場面の多くは、こちらに余裕がないときに起きています。一時間くらいの残業ならまだいい。でも、もっと遅くなる日もあります。そんな日は、重い足をなんとか持ち上げるようにして、母のもとへ向かいます。

頭の中は明日の準備でいっぱいです。その状態で同じ話を三度聞けば、声のトーンは自然と硬くなってしまうのでしょう。

昔の母との無意識の比較

あるとき、ふと気づいたことがあります。私はきっと、今の母に怒っているのではない。心のどこかで、しっかりしていた頃の母と比べてしまっているのだ、と。

「昔のお母さんなら、こんなこと、すぐ分かったのに」。そんな言葉が浮かんできます。そこにいるのは今の母なのに、無意識のうちに以前の母を探してしまうのです。

怒りの正体である寂しさ

比べてしまうということは、それだけ以前の母を大切に思っているということでもあります。だとすれば、こみ上げてくるものの正体は、怒りではないのかもしれません。

……なんだ。私は、怒っていたんじゃなくて。もしかしたら、少し、寂しかったのかもしれません。そう気づいたら、なんだか、ふっと力が抜けました。

名前を知って楽になった理由

気持ちの正体が分かっても、状況そのものが変わるわけではありません。それでも「プレ介護」という言葉に出会ってから、心の重さは確実に軽くなりました。名前がつくというのは、思っていた以上に大きなことでした。ここでは、言葉を知って何が変わったのかを振り返ってみます。

宙ぶらりんな気持ちの正体

介護と呼ぶには早いけれど、でも確かにしんどい。日にちを間違える母を見て、ざわざわする。この宙ぶらりんな気持ちを、どう扱えばいいのか分かりませんでした。

「これって、私が心配しすぎなのかな」「まだ介護ってほどじゃないのに、大げさかな」。そうやって自分の中でもてあましていたものに、ちゃんと名前があったのです。

名前があるという安心感

名前があると知るだけで、少しホッとしました。得体の知れないもやもやが、輪郭のあるものに変わったからだと思います。

説明できる言葉があれば、誰かに話すこともできます。相談のきっかけとしても、この言葉は役に立ちました。

自分だけではないという発見

言葉があるということは、同じ状態の人がたくさんいるということでもあります。あぁ、私だけじゃないんだ。これは、みんなが通る道なんだ、と思えました。

きっと今も、どこかに。「プレ介護」なんて言葉も知らないまま、たった一人で悶々としている人がいるはずです。

今日からできる3つの準備

親に強く当たってしまった日は、自己嫌悪が押し寄せます。けれど、それはあなたが冷たいからではありません。それだけ必死に、頑張っているからだと思います。自分を責め続けるより、少し先の自分が楽になる準備に目を向けてみませんか。ここでは、仕事をしながらでも今日から始められる準備を三つ紹介します。どれも、お金や時間をほとんどかけずにできるものばかりです。

気になる変化の記録

一つ目は、親の様子で気になったことを短く書き留めておくことです。帰宅してから「今日は同じ話を三回」「日付を一日間違えた」とメモするだけで構いません。

  • 日付と出来事だけの一行メモ
  • スマホのメモ帳で十分
  • 自分の気持ちも一言だけ

記録が残っていると、変化が少しずつ進んでいるのか、たまたまなのかが見えてきます。兄弟や相談窓口に話すときも、「なんとなく心配」より具体的に伝えられるでしょう。頭の中のもやもやを外に出して、少し距離を取って眺められるのもうれしい点です。

無理なく続く関わり方の見直し

二つ目は、親との関わり方を「続けられる形」に整えておくことです。毎日顔を出す。いつも優しく接する。そうした理想を掲げるほど、できなかった日の落差が大きくなります。

  • 訪問は週に数回で十分
  • 疲れた日は短時間で切り上げ
  • 電話だけの日があってもよし

私も、あまりに余裕がない日は「疲れたから、今日はもう帰るね」と伝えて切り上げます。手を抜くのではなく、長く続けるための調整だと考えるようにしました。

いざという時の相談先の確認

三つ目は、困ったときに頼れる相談先を、今のうちに一つ調べておくことです。おすすめは、親が住んでいる地域の「地域包括支援センター」。介護が始まる前の段階でも、無料で相談を受け付けています。

まずは名前と電話番号を、スマホに登録しておくだけで大丈夫です。実際に電話をかけるのは、もう少し先でも構いません。「何かあったらここに聞けばいい」と分かっているだけで、一人で抱え込む心細さはずいぶん和らぐはずです。

プレ介護でよくある質問

最後に、プレ介護の時期によく聞かれる質問をまとめました。同じ疑問を持つ方の参考になればうれしいです。

プレ介護はいつから始まるのか

明確な線引きはありません。親の様子が気になり始めた時点で、すでにその時期に入っていると考えてよいでしょう。

親に怒ってしまうのは普通なのか

珍しいことではありません。疲れているときほど起こりやすく、そのあとで自己嫌悪に陥る方も多くいます。

何から準備すればよいのか

まずは記録から始めるのがおすすめです。気になった出来事を日付とともに残しておくと、あとで相談するときに役立ちます。

兄弟にどう相談すればよいのか

感情ではなく事実を共有すると伝わりやすくなります。「心配だ」よりも「先週これがあった」のほうが、温度差を埋めやすいでしょう。

相談できる場所はあるのか

お住まいの地域にある「地域包括支援センター」が、介護が始まる前の相談も受け付けています。まだ何も起きていない段階でも大丈夫です。

まとめ プレ介護は一人で抱えない

プレ介護は、制度の外側にある、名前のつきにくい時期です。だからこそ一人で抱えやすく、しんどさが人に見えづらくなります。

  • 介護と呼ぶには早い時期
  • 怒りの正体は寂しさ
  • 名前を知ることの安心感
  • 準備1 気になる変化の記録
  • 準備2 無理なく続く関わり方
  • 準備3 相談先の確認

怒ってしまう自分を、どうか責めすぎないでください。——なんて、えらそうに言っている私も。今日もさっき、しっかり怒ってきたばかりなんですけどね(笑)。

きっと今夜も、帰り道に「あぁ、また言い過ぎた」と反省するのだと思います。それでも、そんな自分を少しずつ許してあげられたらいいな。そう思いながら、私は今日も母のもとへ車を走らせます。

このブログでは、同じ時期を過ごす方に向けて、感じたことや調べたことを書いていきます。よかったら、また覗きにきてください。

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